NDA(秘密保持契約)で起こり得るトラブルとその対策
1 はじめに
NDA(秘密保持契約)は、取引交渉前や提携検討段階で情報を開示する際に、最初に締結することが多い契約です。
しかし、雛型を使い回していたり、相手方から受け取ったものを精査せずに締結すると、
本当に守るべき情報をカバーできていなかったり、逆に不要な義務を負うリスクが潜んでいます。
そこで本日は、NDAについて、実際に起こり得るトラブル事例と、実務上、特に注意すべきポイントをご紹介します。
2 実際に起こり得るトラブル事例
⑴ 開示側において想定されるトラブル
例えば、受領側が秘密情報を漏洩したため損害賠償請求をしようとしたものの、
開示した秘密情報の範囲が曖昧であるため、請求が認められないというトラブルが想定されます。
そこで、開示側としては、秘密情報の定義や範囲が曖昧でないか、注意する必要があります。
⑵ 受領側において想定されるトラブル
例えば、秘密保持義務の期間に関する制限が一切設けられていないNDAを締結すると、
受領側が意図せず、契約期間終了後も永久的に秘密保持義務を負ってしまう可能性があります。
そこで、受領側としては、秘密保持義務の期間が永久的でないかに注意する必要があります。
3 実務上押さえておくべき主なポイント
⑴ 秘密情報の定義について(開示側)
NDAにおいて、秘密情報の定義や範囲が不明確であると、前述のように、漏洩時に適切に対応することが困難となり得ます。
そのため、秘密情報の対象は具体的に記載する必要があります。
例えば、単に「業務上知り得た全ての情報」などと記載するにとどまらず、
具体的なカテゴリ(技術情報、営業情報、顧客情報、価格情報等)を列挙することが考えられます。
⑵ 秘密保持期間について(受領側)
NDAでは、契約終了後も一定期間、秘密保持義務が継続するのが通常です。
しかし、無制限に秘密保持義務を課すことには、秘密情報の管理コストが長期間発生し、企業の負担が増大する等のリスクが伴います。
そこで、仮に御社が秘密情報の受領側である場合には、秘密保持義務の存続期間を、「契約終了後●年間」といった形で制限を設けることをお勧めいたします。
なお、具体的な期間は1年間から5年間などが比較的多いですが、実際には秘密情報の性質や内容に応じて定めることになります。
4 まとめ
NDAは、単なる形式的な契約ではなく、自社の情報資産を守る最後の防衛線です。
交渉段階で一方的に相手方の案を押し付けられることも多いため、どの範囲でどこまで修正すべきかを整理しておくことが望ましいといえます。
今回取り上げたもの以外にも、注意すべきポイントはいくつかあるため、NDAを取り交わす際にご不明な点があれば、いつでもご連絡ください。
本記事に関しまして、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に弊所までご連絡ください。
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本記事は、弊所配信のメルマガ「法律一口メモ」より抜粋しています。
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