裁判の意外な効能(時間の効能)
裁判は時間がかかる
裁判は時間がかかります。
早くても1年、高等裁判所、最高裁判所まで行くと、中には10年というものもあります。これだけビジネスのスピードが加速する世の中にあって、こうもスピードの遅い手続きも珍しいと言えます。なぜこれだけ時間がかかるかと言えば、悪しき慣習としか言いようがありません。裁判は、なぜか1ヶ月に1回程度しか期日が入りません。そして、この間に書面を1通出すだけなのです。もし、この間に原告→被告へ主張、それに対する反論、さらに再反論とやっていけば、何倍にもスピードアップできます。しかし、それをやらないのです。私自身は、なるべく早くと思い、相手から書面が出ると、次の裁判までに反論するように心がけています。これによって、相手は常に攻撃されているという状況を作り出すことができます。
時間がかかることの意外な側面
ただ、実はこの時間がかかるということの意外な効果もあります。
それは、当事者の感情です。トラブルが起きると、当事者は感情の渦に巻き込まれます。落ち込んだり、怒ったり、恨んだり・・・なかなか起きた事実を客観的に捉えることができません。ところが、裁判で時間が経ってくると、感情が落ち着き、
色々な面で捉えることができるようになってきます。
そんな時に和解によって解決ということがあります。
感情的な対立が激しく、なかなか解決が難しい。そういう場合は、時間のかかるものだと思い、裁判や調停などの手続きを利用するのも一つです。
もちろん、ビジネスの話しについては、スピードが非常に重要ですから、弁護士としてもそのスピードにしっかりとついていけるよう、スピーディな対応に心がけていきます。ただ、どうしても感情的な対立で難しいという場合は、ある意味「これは今はどうにもならないな」と大きく構えることが大事なこともあるわけです。