社員がインターネットで不適切な投稿を行わないために会社がなすべきこと
最近、従業員がSNSやインターネット上の掲示板に不適切な投稿を行い、企業が「炎上」による被害を受けるということがあります。報道されるほどの大事件にならなくても、従業員の不適切な行動によって顧客からクレームが来たり、取引先からクレームが来たりすることもありますので、企業が従業員によるインターネット関係の適切な使用に関する対策を講じておくことは重要です。
従業員による不適切な投稿がなされた場合の問題
従業員が、インターネットを通じて企業秘密を漏えいしてしまったり、第三者に対する名誉毀損やプライバシー侵害、知的財産権侵害等にあたる書込みをしてしまった場合、書き込みをした従業員自身が民法上の不法行為に基づく損害賠償責任を負うことは当然です。
しかし同時に、企業も雇用している立場にありますので、同様の損害賠償責任を負わねばならないことが多いです(使用者責任と言います)。また、そもそもそのような不適切な投稿を行う社員がいるということについて、教育の不徹底さを露呈することになりますし、コンプアライアンス意識が欠けているとして社会的な信用の失墜は避けられません。
事前対応の重要性~自覚の醸成
そのため、起きてしまった場合に迅速に対応することはもちろんなのですが、そもそもそのようなことが起こらないような体制を整備しておくことが重要です。
よく勧められるのが、SNS使用規程の制定です。就業規則の他に、従業員がSNS等を使用する際の注意事項や決まりごとを社内規程として作り、従業員全員に周知しておくわけです。また、その旨記載した誓約書を取り付けるということも勧められています(ご希望の方は弊所で作成することも可能です)。
ただ、重要なことはこのような規程を整備することではなく、従業員全員がその自覚を持つということです。ですので、規程を整備する、誓約書を取る、はたまた研修をするなど、様々な手法があるわけですが、重要なのは手法ではなくて、それらを行うことによってどのような状態を目指すか、です。
やはり、従業員は会社の一員であり、自身の行為が社外であっても、インターネットで仕事中のことや立場を明示する場合には、会社の代表と見られる、「あなたの行為を通して会社が評価されるのだ」、そのことを意識しなければならないということを理解してもらう必要があります。
インターネットに不適切な投稿をする人は、たいてい、「こんな大ごとになるとは思わなかった」と言います。少し考えればわかることなのですが、その当たり前のことがわかっていない場合が多いものです。
そう考えると、あなたは会社の大切な一員、あなたの行動を通して会社が判断されるのだということを、折に触れ、縁に触れて伝えていくことが大事なのだと思います。
そういった自覚を育むために、先ほどお伝えした、規程や誓約書、研修を行うということであれば、それはとても効果的だと思います。
手段にこだわって、本質を見失わないこと。社員は会社にとってかけがえのない宝(人財)です。その人財が本当に生きるよう、この会社で働けてよかったと会社を誇りに思えるよう、日々心がけたいものです。