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懲戒処分の公表と名誉毀損

懲戒処分の公表と名誉毀損

懲戒処分をした場合に、その内容を社内もしくは社外に公表することは名誉毀損にあたるでしょうか。

裁判例の紹介

とある大学の医学部教授が懲戒処分を受け、それを学内専用ホームページ等で公表されたとして、損害賠償請求をした事案がありました。

判決は、本人を直接特定する表記がないことから、社会的評価の低下はないとして、名誉毀損ではないとしています。仮に社会的評価が低下するおそれがあったとしても、本人が公的立場にあったことから、懲戒処分には公共性、公益目的生、真実性が認められるとして、違法性が阻却されるともしています。

懲戒処分を公表することは問題ないか

懲戒処分がなされた場合、社内に知らせて注意喚起することが必要なことはしばしばあります。実際、平成19年4月27日の東京地裁判決では、「懲戒処分は、不都合な行為があった場合にこれを戒め、再発なきを期すものであることを考えると、そのような処分が行われたことを広く社内に知らしめ、注意を喚起することは、著しく不相当な方法によるものでない限り何ら不当なものとはいえない」としています。

つまり、相当な方法であれば、問題はないわけです。「相当な方法」と言われてもなかなか理解が難しいかもしれません。本人の名前を公表しない、過度な表現を用いない、公表範囲を広げすぎない、攻撃の意図を含めないなど様々な観点がありますが、懲戒処分の内容によって公表する範囲も変わってくるでしょうし、伝え方も変わってくるはずです。いずれにせよ、安易な公表は禁物と考えていただいた法がよいかと思います。

名誉毀損

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合は、名誉毀損にあたります。仮に事実であったとしても、名誉毀損は成立するわけです。ただ、これには例外があり、公共の利害に関する事実であり、その目的が専ら公益を図ることにあって、内容が真実である場合には、違法性がなくなるとされているのです。ですから、社会的に影響の大きい事実に関し、公益のために公表することは問題ないとされることもあります。一方で、公共の利害に関するものか、公益目的か、真実か、など、争いになることも多いので注意が必要です。

ルール作りが大事

そして、このような裁判が複数あることに鑑みれば、公表は慎重に行うべきです(違法でなくても訴訟を提起されるリスクがある)。
そこで、以下のような点に気をつけていただければよいかと思います。
1 公表する場合のルールを就業規則等で定めておく
2 処分された本人が特定されないように注意する
3 社内のみへの告知にとどめる(社外への告知の必要性がある場合には公表方法を吟味)
4 処分内容については過度な表現を慎み、事実のみを伝える

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