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●組織として●従業員のメンタルヘルス不調時における適切な対応

●組織として●従業員のメンタルヘルス不調時における適切な対応

1 はじめに

近年、メンタルヘルス不調を理由とする労働災害の件数が増加しています。
長時間労働やハラスメントなど、さまざまな原因によって不調に陥ることがありますが、
これが悪化してうつ病や適応障害等を引き起こした場合、会社側が適切に対応していなかったことが理由で、労災が認定されたり、安全配慮義務違反が問われたりする可能性があります。

今回の記事では、万一、職場内でメンタル的に調子が悪そうな従業員がいた場合に、会社側として、どのように対応すべきかをご説明いたします。

2 メンタルヘルス不調への初動対応

⑴ 本人に自覚症状がない場合

 

周囲から見て明らかに調子が悪そうにも関わらず、本人にその自覚がない(あるいは無理をしている)場合には、
まずは面談を通じて、会社が心配している旨を丁寧に伝えた上で、心療内科等の受診を促すようにしてください。

メンタルヘルスの問題は非常にデリケートなため、本人に自覚症状がない場合に
「様子がおかしいから病院に行ってこい」と一方的に告げられても、
本人が拒絶し却ってそれが労務トラブルに発展する恐れもあります。
丁寧な対応をすることで自発的な受診を促し、
それでもどうしても任意の受診に応じてくれない場合に、
初めて業務命令としての受診命令や休職手続を検討することになります。

 

⑵ 自ら不調を申告してきた場合

 

従業員自ら調子が悪いと申告してきた場合には、まずは受診の上で診断書を提出してもらい、そのまま働かせるべきか、休ませるべきかを専門家(医師)の判断を通じて確認してください。
可能であれば、本人の同意を得て主治医と面談し、症状の深刻度や回復の見通し、診断の根拠等を確認することも考えられます。
場合によっては、申告を受けた際に、本当に病気なのか疑わしいと感じてしまうこともあるかもしれません。
もっとも、診断書に「自宅療養を要する」等の記載があれば、医師が「就労せず加療に専念せよ」と診断したということですので、
その場合でも、ひとまず休ませる方向で検討が必要です。

3 やってはいけない対応の例

自宅療養の診断書が出ているにも関わらず働かせる

本人のメンタル不調が明らかなのにも関わらず働かせる
例えば、「急に休まれると困る。今週だけは出てくれ」等と告げて無理に働かせた場合、それによって症状が悪化してしまえば、例え不調のきっかけ自体は会社の責任は少なかったとしても、症状悪化について業務上の労働災害や会社の安全配慮義務違反があったと判断される可能性が高くなってしまいます。

休職中、旅行等のプライベートな行為が判明した場合に(安易に)処分する
過去の裁判例上、気分転換として療養の一環(範囲内)と判断される可能性もありますので、安易な処分は注意が必要です。

 

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本記事は、弊所配信のメルマガ「弁護士法人クオリティ・ワン 法律一口メモ」より抜粋しています。
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