「働き方不良」社員対応!?
先日、とある弁護士が登壇するセミナーのチラシを見る機会がありました。題名は、「働き方不良」社員対応の・・・。内容としては、「問題言動として何を取り上げるか」、「働き方が好ましくないことをどのように立証するか」、「文書の残し方」などなど。これは、明らかに解雇を前提とした場合にどうするかを伝えるセミナーです。
果たして「働き方不良」なのか?
これは注意が必要です。弁護士としては、解雇したいと言われれば、解雇するにはどうすればよいのかをお伝えすることはできます。ただ、解雇は非常に難しく、解雇するために証拠集めをした場合は、「排除」のための証拠集めとして、解雇無効(敗訴)とされることが極めて多いです。それだけ危険な行為なのです。
一方、考えるべきは、果たして「働き方不良」なのか?ということです。組織の中で生産性が低い、どうにもモチベーションが悪い。この原因は、社員本人の素質の問題もさることながら、上司の関わり方の問題、社長の関わり方の問題であることがあります。真の原因を突き止める前に、安易に解雇すれば、また新たに「問題社員」が登場するということになりかねません。
「問題社員」を作らないために
社員は上司の関わり方によって生産性が上がったり下がったりします。特に重要なのは、上司の感情の状態です。上司が感情的で、いつもかりかりしている状態ですと、部下にもそれが伝染し、職場を恐怖が支配することになります。そうなると、社員のモチベーションは低下し、生産性もどんどん下がります。このような場合、社員の問題ではなく、むしろ上司の問題ということになります。そのような上司への関わりも、その上司のタイプによって、変わってきます。たとえば、とてもよくできる上司で、できすぎるために、部下が無能に思えてしまってつらく当たっているという状態であれば、その有能さや努力を褒めつつ部下への関わり方を和らげるためにどうすればよいかを質問する形式が有効です。
採用を誤らない
もし、そもそも資質的に問題な社員がいるとすれば、それは採用の問題かも知れません。一度雇ってしまえば、安易に解雇はできないと腹をくくり、しっかりとした採用戦略を立てることが重要です。求める人材像を明確にし、そのような人が集まる仕掛けを作って、強いチームを作り上げることが重要です。そのような強いチームを作ることがそのまま法律的なトラブルに対する強さを身につけることに直結するのです。