破産という選択肢
「借金で首が回らなくて・・・でも、自己破産だけはしたくないんです」
そう言って相談に来られる方があります。
借金が多くある場合に、どうやって立て直すか、どうやって借金を整理するか。多くのやり方があります。その方が何を求めているかによって、弁護士の関わりも変わります。
整理する方向であれば、自己破産、民事再生、私的整理・・・
事業をしていて、事業自体は黒字であれば、借金返済の条件変更や会社分割、民事再生などなど。いずれにせよ、何らかの方法はあります。一番問題なのは、ただただ悩み、一人で考え、場当たり的に行動することです。
足を一歩踏み出して相談することで、道が開けることが多くあります。
たとえば、自己破産だけは嫌だとおっしゃる方でも、自己破産がどういうものかを理解なされずにおっしゃっている方もあります。たしかに、お金を貸してくれた人達に迷惑がかかりますから、できれば避けたい。しかし、どれだけがんばっても
返せない状態であれば、一度借金を整理して、新たな生活をスタートさせるのも大事なことです。
日本では、破産して免責を受ければ、個人の場合、借金が帳消しになります(外国ではそうでないところもあります)。もちろん、自分の持っている財産は現金にかえられて、債権者に分配されます。ただ、手元に置いておくことのできる財産もあります。それは、99万円までの財産(現金、預貯金、生命保険、自動車等)。借金の返済で首が回らなくなっている人は、破産をすることによって、借金が帳消しになり、破産の後に手に入れる財産はすべて自分のものになります。
借金地獄にはまっている人を助けるには強力な武器が破産なのですね。
でも、もちろん破産には、デメリットもあります。
その1つが信用情報への掲載です。いわゆるブラックリストと言われるもので、これに掲載されてしまうと、新規の借り入れやクレジットカードを作ることが制限されます。もちろん、返済が遅れた時点でブラックリストにはのってしまうのですが。
さらに、一定の職業には制限がかかります。たとえば、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、行政書士、通関士、宅地建物取引士、貸金業者、証券会社の外交員、警備員、生命保険募集人などです。
このようにデメリットもありますが、借金から解放されるもっとも強力な手段が破産ですので、借金で悩んでいる方は一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。