契約交渉のカン所
相手の契約書案をそのまま丸呑みしてはいけない!
会社同士で契約を締結する場合、相手から契約書の案を示されることがあります。
そんな時、そのまま応じているでしょうか。
それとも、要望を伝えて再度検討をお願いするでしょうか。
中には、相手が示してきた契約書にそのまま同意しないといけないと思っている人もいます。せっかく作ってくれたのに修正要望を入れるのは申し訳ないと思っている人もいます。
そうではありません。こちらの意見を堂々と言って良いのです。そうしないと、こちらがどう思っていようと、契約で締結したことは約束になってしまって、その内容に拘束されてしまいます。後から何を言ってもだめなのです。
立場の違いがあって強く言えない場合は?
立場の違いがあるため、あまり強く言えないこともあります。たとえば、相手が大口の取引先で取引中止と言われたら売上に対する影響が非常に大きい場合などです。相手との関係性を思えば、あまり強くは言えないのだけれど、ここだけは直したい。そんなこともあるかと思います。
そんな時、弁護士としてよくアドバイスしているのが、「覚書」を使う方法です。
契約書はそのままでいいけれど、この部分について、覚書を交わしてもらえませんか?と打診してみるのです。相手の会社としても、他の会社とも同じ契約書を結んでいるなどの場合、契約書自体を変えることは難しいことがあります。
でも、まぁ、覚書ならばと思うわけです。
ここで注意が必要なのは、覚書という名前であっても、立派な契約書だということです。タイトルは法律的には何の意味もないのです。ですから、覚書で、契約書の第○条を以下のように変更するというように書くわけです。
ただ、この方法を使うには注意も必要です。それは、一見矛盾する合意が存在することになるため、その優劣関係を明記しておかなければならないのです。ですから、ここだけは注意して下さい。
お互いの立場に配慮して契約する
このように、自身の立場を知って、仮に弱い立場でも守るべきものはしっかりと守る。これが大事です。
ただ、法律的にどうかという問題もさることながら、これから取引を始めようという相手ですから、自分と相手の立場を両方考えて、両方にとってよい道を探ることが重要です。
契約交渉は非常に重要ですから、是非、弁護士等の専門家に依頼されることをお勧めいたします。
小倉悠治(金沢弁護士会)