退職者の社宅の立ち退き
社宅に住んでいる従業員が退職したにも関わらず出ていかないというトラブルについて考えます。
通常であれば、「会社との労働契約継続中に限って社宅を利用できる」という約束（明渡特約）があります。
ただし、中には「借地借家法」を根拠に明渡特約は無効であると主張し、退去までの猶予が必要だと争うケースが散見されます。
契約書や社内規定の整備がなかった事案にも遭遇することがありますので、もし規定がないようでしたらご相談ください。
裁判例を見ると、借地借家法の適用を認めず従業員の主張を排斥したケースが多数あります。
したがって、当然に従業員の主張を認める必要はないでしょう。
一方で、係争化してしまった場合には、元従業員による不法占拠を前提に、建物の明け渡しおよび賃料相当損害金の請求を求める交渉を行うことになります。
社内規定において、不法占拠期間中の賃料相当額を通常の相場通りの金額とすることを記載しておくことをお勧めします。
なお、大家さんの立場で社宅として企業に物件を賃貸する場合もございます。
その際、現在の入居者が誰であるかを把握しておくことをお勧めします。
仮に大家さんの立場で建物の明渡請求を行う場合には、現在の住人が誰であるかが重要になるためです。
退職した従業員のケースからは離れますが、賃貸先の企業が経営の行き詰まりにより賃料が未払いとなり、明渡しにも協力してもらえないといった非常に時間がかかるケースも目にしたことがあります。
本記事に関しましてご不安な点がございましたら、遠慮なく弊所までご相談ください。
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本記事は、弊所配信のメルマガ「弁護士法人クオリティ・ワン 法律一口メモ」より抜粋しています。
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