請求さえしていれば時効にかからない?
時にこんな相談があります。
「取引先がなかなか支払ってくれなくて・・・毎月請求書を出しているのですが、支払いがないのです」
「でも、請求書を出しているから、大丈夫ですよね」
ここで問題になるのが「時効」です。
時効の期間は債権の種類によって違いますが、(民法の改正でかなり整理されますが)一定の時間が経過すると、請求できなくなってしまうのです。
この時効を止めるためにはいくつか方法があります。
しかし、1番誤解が多いのが「請求」です。「請求」という言葉を聞くと、請求書を出すことを指していると思います。しかし、法律で言われているところの「請求」は、裁判上の請求のことで、裁判を起こす必要があるのです。
多くの人が請求と言う、郵便やFAX、内容証明による請求は、法律上「催告」と言って、6か月しか効果がありません。しかも、6か月は1回きりの効果なのです。ですから、時効完成ぎりぎりで催告をして、6か月以内に裁判や調停を起こさなければ、時効にかかってしまうのです。(もう一度書面で請求しても、6か月伸びるというわけではないのです)。
一度時効にかかってしまうと、債権の回収は絶望的です。もちろん、相手が時効の完成を知らずに、一部でもお金を払ってくれればよいですが、「時効を援用します」と言われてしまえばそれまでです。長期間支払いがない場合には、時効の期間を確認し、それまでに裁判を起こすかどうかを検討しなければなりません。いずれにしても、時効にかかりそうな債権があったら、すぐに弁護士に相談したいものです。