給与はお金だけだと思っていませんか?
賃金=お金?
労働法上、賃金と言えば、お金です。通貨払いの原則と言って、通貨で支払わなければならないので、現物支給も原則として禁止されています。法律上はたしかにそうなのですが、賃金や給与をお金のみに限定してしまうと、とても殺伐とした職場になってしまうと思います。
それと言いますのも、働くことに対する報酬は、金銭のほかに、精神的な報酬を考えることができるからです。働きがいと言ってもいいと思います。働くことそのものの喜びです。どれだけ給与が良くても、働きがいがない仕事では、長続きしないのではないでしょうか。給与が高くてつらい職場から、給与が安くてやりがいのある仕事に転職するという人の話もよく聞きます。
経営者にとっては、この精神的な報酬をどれほど社員の皆さんに与えられるかが、人材の定着やモチベーションに直結します。
働きがいをどのような点で感じるか。これは人によって異なります。人からの感謝が一番の人もいますし、自身の成長を実感できることが一番の人もいます。苦労して目標を達成することに喜びを感じる人もいます。経営者としては、社員一人一人が働きがいを感じられるように心がけていくことが重要です。
顧客と接しない仕事の場合は要注意
ただ、顧客と直接接する仕事と直接は接しない仕事にわかれている職場は、特に働きがいを持たせる工夫が必要です。たとえば、食品の製造販売をしている職場であれば、販売のスタッフは顧客の声をじかに聞き、喜びを感じていても、製造スタッフはひたすら作っているだけで、顧客の声を聞いたことがないということもありえます。こんな時は、顧客の喜びの声を社内で共有し、製造スタッフも自身がやっている仕事の意義を再発見していただくなどが考えられます。
実はこれは法律事務所も同じです。弁護士は依頼者から直接感謝されることが多いですが、スタッフはそうでないことが往々にしてあります。そんな時は、依頼者からの感謝の言葉を伝えたり、できる限り依頼者と接する機会を増やしたりということが重要になります。
人間関係の重要性
また、忘れてはならないのが社内の人間関係です。社内に3人の親しい友達がいれば、仕事の満足度が96%向上し、給与に対する満足度が200%向上するとの調査結果もあるそうです。
それだけに、社内の人間関係を良好に保つことも経営者の重要な仕事と言えます。