一代で上場企業を築いた人に聞いた~経営のカン所
先日、株式会社ペッパーフードサービスの一瀬社長のお話を聞く機会をいただきました。「いきなり!ステーキ」で有名なので、ご存じの方も多いと思います。何度も倒産の危機に遭いながらも、それをかいくぐり、会社を大きくされた、その裏にはどんな在り方があったのだろうと興味津々でした。
根底は感謝
常に語っておられたのは、「感謝」でした。決して一人でできたことではない。従業員、取引先、お客様。すべて、感謝だということを繰り返し繰り返しおっしゃっていました。中でも、お母様に対する感謝の念が強いことが印象的でした。幼少の頃にコックとして修行に出る際、「日本で5本の指に入るようなコックになりなさい」と言われたそうで、その言葉自体に強い愛情を感じます。それだけの愛情に育まれ、それを受けて自信を育まれたからこそ27歳にして起業という決断ができたのだと思いました。
多店舗展開の動機は?
私の関心事の一つが、「どうしてこんなに多店舗展開しようと決意したのか」でした。直接質問する機会をいただけたので、聞いてみると、「従業員のため」とのことでした。一瀬社長は起業後に成功し、自社ビルを所有することになりました。普通に考えたら成功ですし、それで終わりでもよいかと思います。しかし、この規模では、将来が見えない。従業員が夢を描けない。従業員にだって家族がある。養っていかなければならない。そんな従業員に希望や夢を持ってもらい、安心感を持って働いてもらうには、会社が成長しなければならない。だから、多店舗展開を決意されたそうです。
従業員を大切に
もちろん、従業員のことを思った結果、他の道を選択される経営者もおられると思いますし、規模の拡大=良いことではないと思います。しかし、重要な意思決定において、従業員の幸福を重視しているということを伺った時、深く感動しました。経営者は、やはりこの視点が大事なのだと痛感しました。
しかし、同時に大切なことは、採用です。社長がどれだけ従業員のことを思っていても、その思いに答えてくれる人を雇わなければなりません。自分のことしか考えない人を雇ってしまえば、職場は混乱するだけです。
いい人材を見極め、愛情を持ち、徹底的に育て上げる。
これなんだなと改めて思い、帰路につきました。