旅行サイト3社に立ち入り~独占禁止法にご注意
旅行サイトへの立ち入り
公正取引委員会が旅行予約サイト大手の楽天トラベル、ブッキングドットコム、エクスペディアの関係先に対して立ち入り検査がされました。サイトで紹介するホテルのサイトと同じ価格か、より安くするよう求めていた疑いが持たれています。3社はホテルや旅館との契約に最恵待遇(MFN)条項を入れ、宿泊料金の最低価格を保証するとともに、割り当ての客室数も競合サイトを下回らないよう義務づけていた疑いが持たれています。
拘束条件付取引とは
実は、独占禁止法は意外と知られていない法律です。今回問題になったのは、拘束条件付き取引に該当しないかということです。拘束条件付取引とは、排他条件付取引や再販売価格維持行為のほか、相手方とその取引の相手方との取引その他相手方の事業活動を不当に拘束する条件をつけて、当該相手方と取引することを意味します(一般指定第12項)。
この拘束条件の典型的なものとしては、テリトリー制(販売地域の制限)、販売先の制限、販売方法の制限等があります。
本来、契約にどのような条件を盛り込むかは、契約自由の原則により自由です。そのため、どんな条件でも違法とされるわけではありません。不公正な取引方法として認められるのは、独禁法上公正競争を阻害するおそれがあるものとして「不当性」が認められる場合に限られます。そして、この公正競争を阻害しているかどうかについて判断するには、拘束の形態やその程度だけではなく、事業者の市場における地位等を考慮し、具体的な行為態様に応じて判断されることになります。
中小企業の場合、大手企業から様々な条件をつけられて、実はそれが独占禁止法違反だけれども、その認識がなく、泣き寝入りしているという事案もあります。
それぞれの事案で果たして不公正な取引方法に該当するのかを判断することは難しいですが、早めに弁護士に相談することをお勧めいたします。