労災隠しとは?防止対策などをご紹介
1 はじめに
近年、労災隠しによる送検数が増加しています。
「労災隠しとは何か」「労災隠しにならないためにはどうすればよいのか」について詳しくご説明いたします。
2 労災隠しとは?
労災隠しとは、事業者が労災事故の発生を隠すため、労働者死傷病報告を故意に提出しないもしくは虚偽の内容を記載して提出することをいいます。
※単に書類の提出を忘れていたようなケースでは、一般的に労災隠しに該当しません。
労災隠しを行った場合、労働安全衛生法違反として50万円以下の罰金を受けることになります。
また、労災隠しが判明した会社は、国や自治体のホームページ等で公開されることもあります。
特に建設業は労災隠しが発生しやすい業種の一つと言われており、送検数の半数以上を占めています。
労災隠しが発覚すれば、金銭面だけでなく、社会的ダメージを受けることもあるため注意が必要です。
3 労働者死傷病報告について
労働者死傷病報告は、いかなる場合に提出する必要があるのでしょうか。
労働安全衛生法によれば、以下の4つのケースのいずれかが発生した場合に
所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。
⑵ 労働者が就業中に負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
⑶ 労働者が事業場内又はその付属建設物内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
⑷ 労働者が事業の附属寄宿舎内で負傷、窒息又は急性中毒により死亡し又は休業したとき
なお、労働者死傷病報告は、被災労働者の労災治療のために必要となる休業日数によって
提出様式や提出期限が異なるので、注意が必要です。
様式や期限の詳細については、厚生労働省のHP等にてご確認いただけます。
4 労災隠しを防止するための対応策
事業者として、労災隠しが起こらないため下記のような対策を講じておく必要があります。
・休業を要する労働災害は労働基準監督署長への報告が必要であることの社内で周知する
・報告を担当する報告責任者の選定
・社内での報告・連絡体制の明確化等
・報告義務を就業規則で義務付ける
5 まとめ
労災隠しは犯罪行為ですので、発覚すれば深刻なイメージ低下へと繋がり、仕事の受注・採用にも影響を与えます。
労働災害が発生した場合に、いかに迅速に報告を行う体制を社内で構築できるかが重要となってきます。
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本記事は、弊所配信のメルマガ「弁護士法人クオリティ・ワン 法律一口メモ」より抜粋しています。
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