労働時間管理から就業規則の見直しまで【リモートワークにおける労働関連法令上の留意点】
1 はじめに
リモートワークの普及は、現代の労働環境に大きな変革をもたらしました。
しかし、その柔軟性には、労働関連法令に基づいた適切な対応が欠かせません。
特に労働時間の管理と就業規則の整備は重要です。
2 労働時間の適正管理
リモートワークの現場では、労働時間の管理や長時間労働の抑制が難しい場合があります。
そのため、以下の対策を講じることが考えられます。
⑴ 勤怠管理ツールの導入
インターネットを活用した勤怠管理ツールの導入は、労働時間を適正に記録するうえで有用です。
これにより、労働時間の開始・終了、休憩時間を詳細に記録できるうえに、場所を問わない勤怠の把握が可能となります。
⑵ 柔軟な労働環境の確保
フレックスタイム制度を導入し、従業員が柔軟に業務を行える環境を整備することが検討できます。
また、コアタイムを指定し、働くべき最低時間を設定して、一定の労働時間を確保することも有用です。
⑶ 定期的なコミュニケーションの機会やストレスチェック等の実施
過重労働による健康問題を未然に防ぐため、定期的に声掛けをする他、ストレスチェックを実施し、
体調不良や精神的ストレスが長時間労働に起因していないか確認しましょう。
3 労働契約と就業規則の見直し
リモートワーク環境では、従来の労働契約や就業規則が実情に合わない場合があります。
そのため、必要に応じて、主に以下の点について見直してみましょう。
⑴ 就業場所の明確化
リモートワークを採用するにあたっては、労働者の勤務場所を契約上で明確に定義する必要があります。
「自宅」、「サテライトオフィス」など、適用される場所を具体的に示しましょう。
⑵ 費用負担の規定
リモートワークに伴う通信費や消耗品費等の費用負担について明文化します。
企業側と従業員側のどちらが負担するのか、その範囲や額について契約内であらかじめ取り決めておく必要があります。
⑶ 安全衛生と労働災害対応
自宅の業務であっても、業務中に発生した事故は労働災害の対象となり得ます。
安全な業務環境の基準を定め、必要に応じて備品を貸与するなどの配慮を行い、また災害発生時の報告手順を確立します。
4 まとめ
働き方の多様化が進む中で、労働時間や契約関連の適切な管理は、従業員を法的かつ健康的にサポートするための基盤となります。
今後、リモートワークを実施する際にお困りごとが生じた場合には、いつでもご相談ください。
本記事に関しまして、ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽に弊所までご連絡ください。
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本記事は、弊所配信のメルマガ「弁護士法人クオリティ・ワン 法律一口メモ」より抜粋しています。
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