労働事件のカン所
労働トラブルが増加中
コロナ禍の中で業績が厳しくなった企業は多いかと思います。そんな中、休業を余儀なくされたり、従業員を解雇せざるを得なくなるなどの事例も散見されます。同時に、労働者側から解雇無効を主張されたり、それに伴って残業代請求がされるなどの事例も増えてきています。
ところが、企業経営者にとって、個別の従業員に関する労働トラブルはあまりにもマイナス面が大きいです。
労働トラブルが会社の貴重な資源を奪う
一つは、現在、トラブルの渦中にあると考えるだけで、悩みの種になってしまい、そのことに精神力がとられてしまいます。通常の状態であれば、自身の全精神を会社の前向きな施策のために使えるにも拘わらず、トラブルがあるとかなりの精神力をトラブルのために使うことになってしまうのです。これは相当のマイナスです。特に、不透明な世の中において、資源を会社の成長に集中投入しなければならない状態なわけですから、会社にとっては、個別の従業員のトラブルに時間を割く余裕はない、ということなのです。
裁判所は労働者側に有利
また、もし労働トラブルが発生して、舞台が裁判所に移ってしまった場合にどうなるか。裁判所は、完全に労働者側に有利な場所です。労働基準法も労働者に有利ですし、裁判官も労働者に有利な考え方をします。どれだけ経営者の方が熱弁を振るっても、これは変わりません。会社側の弁護をすることが多い私としても、経済界の考え方と裁判所の考え方とが非常にずれていることにいつも悩みます。経営者の常識が通じないのが裁判所なのです。
予防が命
つまり、労働トラブルは、「予防が命」ということになります。顧問弁護士をつけておく、若しくは解雇等をする前に弁護士に相談するということを心がけていただければと思います。