ワンランク上の契約書チェックを
「取引先との契約書案がまとまりましたので、チェックして下さい」
弁護士として、企業法務を中心に仕事をしていると、よくいただく依頼です。私は、顧問契約を締結している方からのご依頼の場合、できる限り、いただいてから24時間以内に回答するようにしています。
(重たい内容や詳細な調査を必要とする場合は予め同意いただいた上でもう少し時間をかけます)
もう一歩前へ
これはこれでよいのですが、実は、本来の弁護士の仕事はもっと前から始まっています。弁護士が力を発揮するのは、契約締結に向けた交渉段階からなのです。契約条件の話し合いがおおむね済んでしまい、契約書案ができあがってしまっていると、弁護士が修正要望を出することのできる部分が限られてしまうからです。
しかも、契約は常に相手がいます。相手との力関係を考慮しなければなりません。そのため、相手の方が立場が強い場合には、修正した方がよい事項が多数ある場合でも、「最低限ここだけは修正して下さい」という形にならざるを得ません。本当は、交渉段階から弁護士に相談して、そもそも何を目指す取引なのか、目的は何か、契約の中で重視すべき事項は何かを検討していくことが大事です。
業務に対する深い理解を
ただ、これを弁護士がしっかりとやろうとすると、依頼されている会社の事業がどのようなものか、理念は何か、大事にしているものは何かといった、会社に対する深い理解が必要です。
経営者の方から、「弁護士が会社の業務内容をあまり理解してくれない」という声を聞くことがあります。
これは非常に残念なことです。
弁護士が会社の業務や業界の事情をよく理解していれば、「通常であればこうだが、御社が重きを置いていることを考慮すると、こちらの方がよいでしょう」といった深いレベルでのアドバイスが可能になります。
弁護士として、依頼者、特に顧問先の事業内容について深く理解し、ベストな法律サービスを提供することを心がけていきたいと思います。
小倉悠治(金沢弁護士会)