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口頭だけでも契約は有効か?

口頭だけでも契約は有効か?

口頭だけでも契約が成立する!?

先日、
「口頭だけでも契約が成立するのですか?」
という質問を受けました。

答えは、「成立します!」です。

そもそも、契約というのは、「こうしましょう」「よし、そうしましょう」というように、当事者同士の意思が合致したときに成立します。契約書は必須のものではなくて、契約の内容を証明するものに過ぎないわけです。

契約書を結ぶ理由

では、なぜ契約書を結ぶのか。

口頭でも成立すると言っても、言葉は目に見えませんし、録音しない限り残りません。人間の記憶は曖昧ですから、そのままにしておくと、「あれ?どんな約束だったっけ?」となってしまいます。ですので、合意の内容を明らかにして、後日の証拠にする必要があります。そして、お互いに署名押印をしておけば、お互いが納得しているということの証明になります。仮に相手が契約書に反することを言ってきても、「契約書の12条にこう書いてありますよ」と言えば、契約書の方が優先します。このように、明らかに証拠として残っていれば、無用なトラブルを避けることができるわけです。ですから、お互いに思い違いがないように、明確な言葉にする必要がありますし、わかりにくい表現は避けなければなりません。

また、契約書を結ぶということは、儀式的な効果もあります。口頭だと、なんとなく軽い感じが否めません。しかし、しっかりとした紙に署名押印するという形を取れば、「約束したのだから守らなければ」という心理的な拘束力が生じます。ですから、大事な約束の場合は、両者立ち会いで行ったり、ことさらしっかりとした紙を使用したり、わざわざ表紙をつけたりします。

場合によっては、弁護士立ち会いのもとで行うということが儀式的な効果をアップさせることもあります。

安易な署名押印はしないこと

以上のように、契約書を結ぶことが何より大事ではありますが、口頭でも契約は成立してしまうので、注意が必要です。特に最近はスマートフォンでも録音が可能ですので、うっかりしゃべったことが録音されていて、契約成立などということもあり得ます。

しかも、一度契約をしてしまうと、相手に約束違反があったり、こちらに勘違いがあったりしない限りは、契約を解除することはできません。「気が変わった」というのは理由にならないのです。

後でひっくり返すくらいならば、安易な約束はしないことです。「言葉は重い」ということを肝に銘じること、そして、納得していないならば、決して署名押印はしない、ということが大事です。常に相談できる顧問弁護士を用意しておけば、「顧問弁護士に相談してから、お返事します」と言うことで、その場を切り抜けることもできます。契約書の重要性を理解して、安心の経営を目指していただければと思います。

小倉悠治(金沢弁護士会)

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