コロナの中で生き残るために大切なこと
新型コロナウイルス感染症の拡大もさることながら、それに伴う緊急事態宣言、休業要請、自粛要請によって、打撃を受けておられる経営者の方々は多いと思います。情報が氾濫し、中には根拠のない憶測に基づくものがあったりして、どうやっていけばいいのかわからない、という方もおられるかと思います。そこで、弁護士として、キャッシュフローコーチとして、今、重要なことをまとめてみました。
1 正確な情報収集
とにもかくにも、「正確な」情報収集です。如何によい支援制度があっても、それを使うためには情報を得て、申請をせねばなりません。知らないうちに申込期限が過ぎていた、では遅いのです。しかし、インターネットに情報はあふれているけど、多すぎてよくわからない、という方もあるでしょう。そして、国や自治体の制度は日々新しくなっているのが現状です。そこで、私がやっている情報収集方法をお伝えします。
・こまめに経済産業省のホームページをチェック
数ある省庁の中でも、経済産業省のホームページはかなりわかりやすくしてくれています。特に、支援制度がまとめられたパンフレットは、随時更新されていて、便利です。
経済産業省のホームページはこちら
・専門家の発信をチェック
税理士や社労士といった士業のSNS発信をチェック。私はFacebookでチェックすることが多いものの、Twitterを利用されている方も多いかと思います。いずれにせよ、「餅は餅屋」で、専門家がわかりやすくまとめてくれるものをチェックすることが重要です。あと、県議や市議といった地元に密着した政治家の方々が支援制度をまとめて発信してくれている場合もあります。
特に、雇用調整助成金などは毎日のように変わっている状況ですので、注意が必要です。
・地元新聞のチェック
地元の新聞には、地元の支援策が記事になったり、広告として掲載されたりしますので、こまめに各員されることをお勧めいたします。
2 資金繰り
資金ショートしては、事業は続けられません。何はともあれキャッシュを確保する必要があります。そのために使えるのが、日本政策金融公庫の実質無利子の貸付と民間金融機関を通じた実質無利子の融資です。いずれもコロナ対策ということで、かなり借りやすくなっています(もちろん審査があるので、財務体質が極めて悪い場合は難しいですが)。いくらくらい借りたらいいのかというお悩みをお持ちの方もあるかと思います。新型コロナウイルス感染症の拡大がいつ収束するかわからない現状では、本当に難しい問題です。一つの目安は、6か月分の固定費相当分、もしくは1年分の固定費相当分と考えるべきではないかと思います(私自身は、6か月を想定して資金を確保していますが、最近、1年の方がよいのではないかと考えています)。
5月1日からは、民間金融機関を通じた融資でも、実質無利子無担保の融資が始まりました。是非、利用したいところです。どうすればよいかわからないという場合は、顧問税理士もしくは取引先の金融機関にご相談いただくとよいです。
ただ、いずれの融資制度も、1~2か月はかかります。緊急的に資金が必要な場合は、生命保険の契約者貸付(保険代理店に聞いてみて下さい)と小規模企業共済の特例緊急経営安定貸付け(様式等は準備中)が使えます。いずれも、新型コロナウイルスの関係で、無利子で借り受けることが可能です。これらは、かなり早く資金が出るので、緊急的なキャッシュ確保に有効です。
3 国、自治体の支援制度の最大活用
・持続化給付金
売上が50%以上低下した場合、中小企業200万円、個人事業主100万円を上限に給付金を受け取ることができます。弊所でもブログにて解説をしております。
・各自治体の支援制度
現在、国の持続化給付金をはじめ、各自治体においても、多くの支援制度があります。自身の地域でどのようなものがあるかは、中小機構のJ-Net21(サイトはこちら)で検索していただくのが便利です。ただ、各自治体のサイトはわかりにくいのが実情ですので、適宜、窓口に相談してみられるとよいと思います。
石川県の新型コロナウイルス感染拡大防止協力金については、ブログを作成しましたので、ご参照下さい。
・雇用調整助成金
雇用調整助成金は、売上が減少し、休業等した場合に、従業員に支払った休業手当等を後から補填してくれる制度です。厚生労働省のサイトから様式や説明文書をダウンロードしていただくことになるのですが、残念ながら、かなりわかりにくいのが実情です。現在、少しでも簡素化するように努力されているそうなので、今後に期待するしかなさそうです。ただ、5月7日現在では、まだ支給上限額もありますので、実際に支払った金額のすべてが補填されるわけではないことにご注意下さい。
4 事業の見直し
最後に、中長期的に見た場合、この新型コロナウイルスの影響で変化した社会に、自身の事業が適合しているかどうかを見直す必要があります。これまで顧客に提供してきた価値を再度見直し、それが変化した時代において、変えなくてもよいものか、変えるべきであればどこを変えるべきなのか、しっかりと考える必要があります。時代の変化は不可逆的で、もとに戻らないことが多いです。気づいたときには遅いということもありますので、安易に「もとに戻る」と考えず、変化に適応することを前提に考えることが大事です。コロナウイルスの影響で、これまでやってきた事業の本質的な価値が見えてくることも多いかと思います。これをチャンスと捉え、大きく飛躍したいものです。
なお、もし廃業等を検討される場合には、早めに弁護士に相談されることをお勧めいたします。資金ショート直前になってからですと、打てる手が限られてしまいますが、余裕があれば、種々の方法が考えられます。
また、弊所でも経営全般のご相談を承っております。ご相談の予約はこちらから。