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システム開発契約の注意点

システム開発契約の注意点

契約書締結の必要性

システム開発を受託する場合、業者と顧客とで打合せを重ね、契約書を締結しないままに作業に入ってしまうということがよくあります。契約書を作成することが大変なので、注文書や注文請書だけで済ませてしまうことも多いかと思います。

ただ、システム開発は金額も大きくなることが多いです。しかも、システム開発において、開発・納品するシステムは当然「形がない」ものです。そのため、打合せでは一致しているように思われても、後からずれが生じると言うことは多く、トラブルに陥ることも少なくありません。また、開発の途中において修正要望がなされることも多いため、果たして追加料金の発生するものかどうか、認識のずれが生じることも多くあります。

したがって、当事者同士の認識のずれを解消し、基準を明確にするためにも、契約書は重要です。逆に、契約書がないと、トラブルになった際、たよるべき基準がなく、トラブルを解決することが困難になります。

具体的事項について

1 基本的条件の明確化

システム開発契約においては、①開発の対象物、②納入物、③納期、④金額、支払時期及び支払方法等を明確にする必要があります。

このうち、特に重要なのは、開発の対象物の特定です。前述のとおり、これをしっかりとやっておかないと、納入した後に「当初の想定と違う」と言われた場合の基準が曖昧となってしまいます。

具体的には仕様書の確定という形で特定されることになりますが、その方法は様々です。

2 知的財産権の明確化

システム開発においては、特許権が発生する可能性もありますし、開発の中で作成されるプログラムは著作権法上「プログラムの著作物」(著作権法第10条第1項第9号)として、著作権の対象となります。そのため、著作権をどのように取り扱うかを明確に定めておく必要があります。

法律上、特許権は発明者に、著作権は著作者に生じます。そのため、契約で何も定めていない場合、特許権等は開発企業に帰属することになります。そのため、もし委託する企業が知的財産権等を確保したい場合には、契約書にその旨書いておかねばなりません。

ただ、著作権については若干の注意が必要です。まず、著作権法第61条第2項において、以下のように規定されています。

[著作権の譲渡]

著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

27条の権利とは、著作物を翻訳、変形等する権利で、翻案権と言われます。28条の権利とは、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利のことで、「二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する」とされています。

システム開発の場合で言えば、ある会社が開発したシステムをもとに、他の会社が新たなシステム(二次的著作物)を開発した場合、その新たな著作物については、両社が同一の権利を有することになるのです。そのため、「すべての著作権を譲渡する」と規定するだけでは不十分で、契約書において「すべての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と規定する必要があります。

次に、問題になるのが著作権法第59条です。

[著作者人格権の一身専属性]

著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。

著作者人格権とは、公表権、氏名表示権、及び同一性保持権を包含しています。また、人格に基づく権利ですので、譲渡・相続できない一身専属的な権利とされています。このうち同一性保持権とは、「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。」(著作権法第20条第1項)と規定されているものです。

仮に上述の翻案権の譲渡を受けたとしても、この同一性保持権を行使されると改変ができなくなるおそれがあります。そのため、この対処として、「著作者人格権を行使しない」ということも明記しておく必要があります。

3 その他 

システム開発契約においては、そのほかにも重要な規定があります。たとえば、納入方法の特定や、検収の方法、瑕疵担保責任、保証期間の記載、解除の条項の明記等です。特に、解除については、途中でお互いの意見があわない、顧客の要望が過大でもう解除したいなどの場合においても、解除の条件を定めていなければ、原則として開発業者側からの解除はできないことになってしまいます。

以上のように、システム開発契約においては、特に契約書が重要ですので、顧問弁護士と密に連絡を取られることをお勧めいたします。

弁護士 小倉悠治(金沢弁護士会所属)

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